ワタシと自転車とのつきあい
この日外出に自転車を使おうと、へこんだタイヤの空気を入れた直後、突然、一瞬にしてぺちゃんこになった。買い物に出るのは徒歩になった。
自動車も原付も普段運転していないワタシにとって、自転車は大切な足である。
だが、乗りこなせるようになったのは遅く、20歳の頃だった。
のり方を教えてくれた人は、家族でも友だちでもなく、自転車を持ってきて練習しようとしていたところ、通りがかってワタシに声をかけた怪しげな男の人であった。その男の人は、ペダルを精一杯前に漕ぐよう、ワタシに指導した。漕いでタイヤが動き出すと、それまで傾いてばかりいた動く自転車が、やっと安定するようになった。(イメージわかりますか?)以降、その男の人との付き合いは終わったが、自分でも不思議なほど、自転車にスイスイ乗れるようになった。
子供の頃、自転車を買ってもらっては練習し、転んで怪我するのが怖くて結局公道を走らせるほどのレベルには至らず、困ったことが多かった。小学4,5年ごろになると、自転車に満足にのれないことで、休日に友だちと外出することがなくなった。これが高校時代に体験した、無視・絶交の前触れだったのかもしれない。中学生のときは、他の友だちは土・日に部活動などで人付き合いがある一方、ワタシは家にいることが必然的におおくなった。
高校に入ると、孤独さのあまり、早朝に無断で家を飛び出した。だが、10時ごろには親に見つかってしまった。両親、特に母親は自転車によく乗れないし、他の人々とは価値観がずれた人である。この日本の社会では不安定な生活を強いられるような人である。だから、こうすれば乗れるようになるとか、適切なアドバイスは得られるはずがなかった。
見つかったとき、辛抱を強いられるようで、めちゃくちゃ失望感をおぼえた。もしワタシが自転車を乗りこなせたら、家を出るという作戦の実行は、1週間は達成できたであろうと思っている。それほど、ワタシの気持ちを、他の人にわかってほしかったのである。